サイナビ!ランキング

どの記事がよく読まれたのか?

心理学情報サイト「サイナビ!」は2015年10月にスタートし,おかげさまで1年以上が経ちました。これまでにさまざまな連載を掲載してきましたが,どの記事がよく読まれたのでしょうか?

よく読まれた記事

年末になるといろいろな「ランキング」が公開されています。サイナビ!ではいったいどの記事がよく読まれたのだろう,と気になったので,調べてみました。

どの記事がよく読まれたか,以下のように算出しました。

  • 各連載の第1回を対象としました。
  • 第1回の掲載月から6カ月間の閲覧数を合計し,順位をつけました。したがって,2016年5月までにスタートした連載記事が対象です。
  • 月のどの時期(上旬,中旬,下旬等)に掲載したかはさまざまです(ただし,6カ月分を合計するとその影響は出ていないようでした)。
  • 連載の間隔はさまざまです。毎週掲載のものも,1カ月強に1回掲載したものもあります。
  • 同時期に別の記事も掲載されています。また,月ごとの掲載記事数は同じではありません。同時期に多くの記事が掲載されると,よく読まれる可能性があります。
  • サイト,ツイート,フェイスブックでの広報の仕方に,特別な違いはないと思います。

ということで,単純にその記事内容への関心からその記事がよく読まれたわけではないかもしれませんが,そこは目をつぶって(ください),理由はともかく「よく読まれた連載記事」がどれなのかを調べました。

ではさっそくまいりましょう。上位7位までを挙げていきます。

第7位

「パーソナリティのそもそも論をしよう(1)」

渡邊芳之,小塩真司,北村英哉,詫摩武俊
2016年3月7日連載開始

パーソナリティ心理学の歴史的・社会的文脈と最近の動きとを結びつけることで何が見えてくるのか。日本を代表するパーソナリティ心理学研究者4人が議論を深めました。日本パーソナリティ心理学会(当時は日本性格心理学会)の初代理事長の詫摩武俊先生にも議論にご参加いただきました。

第6位

「歴史的・社会的文脈の中で心理学をとらえる(1)」

渡邊芳之,小塩真司
2015年12月14日連載開始

現在の心理学を大きな歴史的・社会的文脈の中で見ていくと,何が浮かび上がってくるのか。渡邊芳之教授と小塩真司教授による対談です。歴史を知ることで,現在の問題も別の角度からとらえることができました。ここでの議論が,第7位の「パーソナリティのそもそも論をしよう」の議論へとつながっています。

第5位

がまんができる子どもとできない子どもとでは何が違うのだろう? 注目を集めている子どものセルフコントロール(自己制御)能力について,実行機能の観点から紹介していただきました。近年,自己制御や非認知能力についての書籍も多く刊行されており,研究の隆盛と関心の強さを感じます。

第4位

長年「傍流」とされてきたベイズ統計学が,心理学研究の大きな潮流となってきています。ベイズ統計学とはいったいどういった特徴をもつのか,数式をほとんど出さずに解説していただきました。ベイズ統計学に関する入門書もさまざまに刊行されており,学会などでの研究会やシンポジウムも数多く開催されているようです。

さて,いよいよベストスリーです!

第3位

「幼児教育のエビデンスと政策(1)」

無藤隆・内田千春
2015年11月9日連載開始

よりよい幼児教育とはどのようなものなのか,その課題とは。次世代を担う子どもたちがどのような環境で,何を学ぶのか。幼児教育への関心が世界的にも高まるなか,日本でも子ども・子育て支援新制度のスタートや,保育の質,待機児童など,幼児教育に関するさまざまな問題が話題となりました。

さて,続いて第2位は,「意外」にも? いやいや,これが本当の実力なのかも!

第2位

「意外といける! 学習心理学(1)」

澤幸祐
2016年2月1日連載開始

心理学の中でも「とっつきにくい」と思われがちな学習心理学。「意外といける」その魅力を,やさしく楽しい語り口で紹介していただきました。この連載は,2カ月目以降もコンスタントに根強く読まれていました。まだまだいけます,学習心理学。

サイナビ!スタート以来,一番読まれた記事はいったい何でしょう? しっかりとしたデータに基づき,実証的な知見を積み重ねてきた「はず」の心理学の基盤をあらためて問い直す,この記事です。

第1位

「心理学研究は信頼できるか?――再現可能性をめぐって(1)」

池田功毅,樋口匡貴,平石界,藤島喜嗣,三浦麻子
2015年10月26日連載開始

心理学の研究は信頼できるのだろうか? 心理学の再現性の問題の動向に注目が集まっています。「再現性は低かった」という論文が出たり,さまざまな議論の応酬があったり。日本でこの問題に取り組む研究者グループの方々に何が問題となっているのか,どういった取り組みがなされているかを解説していただきました。

心理学全体に関わる大きな現在進行形のトピックが,一番読まれた連載でした。多くの方の関心事ということだと思います。

いかがでしたでしょうか。予想どおりでしたでしょうか?それとも意外なところも?

サイナビ!で紹介しているトピックは心理学全体で議論されていることのほんの一部ですが,心理学にまつわるホットな話題を紹介したり,古くある問題をあらためて深く掘り下げてきたりしました。多くの方に心理学に親しんでいただけるきっかけとなっていれば嬉しく思います。これからも心理学を愉しくする連載を掲載していきたいと思います。

年末年始に

年末年始にサイナビ!連載を読み直してみませんか? 2016年12月28日午前9時から2017年1月11日午前9時まで、PDF版が33%オフです。この機会にぜひお求めください。