ストーリーでわかる心理統計
大学生ミライの信頼性と妥当性の探究
発行日: 2022年9月10日
体裁: A5判並製216頁
ISBN: 978-4-908736-27-8
定価: 2200円+税
内容紹介
物語をとおして、心理学における信頼性と妥当性の問題を解説
占いと心理学はどこが似ていて、どこが違うのだろう?
心理学科のミライが統計にまつわる出来事に遭遇するキャンパスライフ・ストーリー
目次
第1週 ふしぎ――占い体験
第2週 きょうつう――理論と方法論
第3週 そくてい――概念的定義と操作的定義
第4週 くりかえし――信頼性と再検査信頼性
第5週 おなじむき――内的整合性
第6週 ないよう――内容的妥当性
第7週 よそく――基準関連妥当性
第8週 まとまり――構成概念妥当性
第9週 たいけつ――QRPs,HARKing,p-hacking
プロローグ
世の中は単純じゃない。
でも人は,あたかも単純であるかのようにそれを見る。
それはこういうものだよ,という発言。
それは違うよ,という断言。
人生の法則を見出したかのような確信。
間違えている可能性があるのに,それはほとんど意識されない。
そういう意識は,常に排除されている。
どれだけ私たちは,楽観的なのだろうか。
それに,私たちには何が見えているのだろう。
本当のことは見えているのか。
統計的な数字の並びは,事実そのものだろうか。
今年,私は本格的に心理学の研究を始めようとしている。
でもまだ,入り口にも立っていない。
統計と心理学……これがいま,私のいちばん関心があること。
それは現実に,どう役立つのだろうか。
あとがき
「ミライ」シリーズも3冊目を刊行することとなりました。今回は,心理学や他の研究分野でよく行われる,心理測定尺度を開発する際の信頼性と妥当性の問題,そして問題のある研究実践(QRPs)を取り上げています。そしてこれまでのシリーズと同様に,学生たちや先生との会話の中で,これらのテーマについて説明することを試みています。
ただし,会話の中で説明をしていくということから,さまざまな制約が生じてくるのも確かです。この制約は自分で課したことでもあるのですが,今回はとくに執筆が難しい部分があり,不十分な説明とならざるをえないところも出てきています。もしかすると「このような説明は適切ではない」,あるいは「この説明は誤っている」という部分があるかもしれません。それはひとえに私自身の力量不足であり,勉強不足のためです。
とはいえ,執筆を終えたいまとなってみれば,書きたいことはひととおり書いたという充実感と安堵の気持ちが生じているのも確かです。学生たちの悩みや先生との会話,サークルやイベント,ショーの様子を楽しんでいただければ,またそのなかで心理学の研究について少しでも理解してもらえれば嬉しく思います。
なお,2020年より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広まり,大学も学生たちの生活も大きな影響を受けました。しかし本シリーズはCOVID-19の拡大前からつながっている話ですので,このことには触れていません。
本書をまとめるにあたり,香川大学の岡田涼先生より貴重なご意見をいただきました。また,ちとせプレスの櫻井堂雄氏には本シリーズの2作目以降の出版にご尽力いただき,またなかなか完成しない原稿を辛抱強くお待ちいただきました。心より感謝申し上げます。
そして,少しでも多くの方が本書を手に取って(電子書籍として読んで)いただければ嬉しく思います。
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