ふたりのおかあさん

鎌倉女子大学「家族のつながり」ゼミナール 作・絵

発行日: 2019年2月28日

体裁: A4判変型(幅21.0cm高さ24.0cm)上製32頁

ISBN: 978-4-908736-12-4

本体: 1800円+税

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電子書籍あり

内容紹介

「わたしには たいせつなひとが たくさんいる」

特別養子縁組によって結ばれた親子,家族の絆を描く

特別養子縁組により,おとうさん,おかあさんと家族になったみらいちゃん。産みの親からも育て親からも愛されながら成長していくみらいちゃんを描いた全ページフルカラーの絵本です。

対象年齢:幼児から

作・絵

鎌倉女子大学「家族のつながり」ゼミナール

このゼミでは,特別養子縁組によって結ばれた親子,家族の心の絆について学び考えています。この絵本は2017-2018年度在籍生5名の共同作業により制作されました(ゼミナール指導担当:富田庸子鎌倉女子大学児童学部児童学科教授)

あとがき

絵本づくりをふりかえって

鎌倉女子大学「家族のつながり」ゼミナール 2017-2018年度在籍生
阿部 偲,川原久枝,石井沙弥佳,下地早紀,渡邉美空歩

お母さんがみらいちゃんに「ふたりのお母さんがいる」ことを説明する場面を,特に大切にしました。産みの親からも育て親からも愛されていることや特別養子縁組もひとつの家族のかたちであることを幼い子どもにどのような言葉を使って伝えればいいのか,熟考しました。文章を考えた当初は,思いを伝えたいがあまりに,お母さんが一方的に話してみらいちゃんを説得するような場面になってしまいました。そこで,テリングの実例を参考に,みらいちゃんの気持ちを受けとめ素朴な疑問に答えるようなやりとりになるように工夫しました。絵の構図や色合いについても検討を重ね,心の中を表現するように心がけました。

絵本づくりを通じて私たちは,特別養子縁組には「愛」だけではなく「逢い」「合い」「相」など,さまざまな「あい」が込められていると感じました。この絵本を手にとっていただいた方たちにも,たくさんの「あい」を感じていただければうれしいです。

テリング―つながり合う努力

鎌倉女子大学児童学部児童学科 教授/「家族のつながり」ゼミナール指導担当
富田庸子

何らかの事情で産みの親が育てることのできない幼い子どもを,育て親がわが子として迎える「特別養子縁組」。私たちのゼミでは,この絵本のみらいちゃんたちのように,特別養子縁組によって結ばれた親子,家族の心の絆について学び考えています。

日々の暮らしの中で育て親が子どもに産みの親の存在などを伝え続け,子どもの思いに耳を傾け続けていくことを「テリング」といいます。大切なのは事実を伝えることだけではありません。育て親は,産みの親や自分たちをはじめ,子どもに関わる人たちの思いを伝えようとしていきます。テリングは,子どもの発達にあわせて現在進行形で行われていく「つながり合う努力」なのです。

「読み聞かせできるようなテリングの絵本を作りたい」「特別養子縁組による親子,家族のすがたをもっと知ってほしい」――そんな思いからゼミで取り組んだ絵本づくり。何度も何度も何度も何度も文章や構成を練り直し,絵を描き換えて,ようやく私たちの思いを込めた1冊ができあがりました。

みらいちゃんは,赤ちゃんの頃からのテリングによって,自分には「ふたりのおかあさん」がいることをいつの間にか知っています。新緑みずみずしい季節,5歳になったみらいちゃんは,お母さんに髪を結んでもらいながら,ちひろママとのつながりを感じます。幼稚園では友だちのおかあさんはひとりだと知って驚きます。絵本の中にちりばめたこのようなエピソードは,育て親ご家族から伺った体験談に基づいています。表紙や川べりのシーンに咲かせた紫陽花(あじさい)には「家族のつながり」という花言葉もあるそうです。光,水,風,土,さまざまなものを受けいれて美しい色合いをみせる紫陽花のように,みらいちゃんたち家族の絆が紡がれていきます。お父さんとお母さんに見守られながら,みらいちゃんはちひろママとの心の手もつないでいきます。

子どもの健やかな心の育ちには,ありのまますべてを受けいれて「生まれてくれてありがとう」「あなたがいるだけでうれしい」と見守り育んでくれる,身近な大人の存在が不可欠です。それは,すべての子どもにとって大切なことです。この絵本が,読んでくださったみなさまの心に,さわやかな風をお届けできることを願っています。

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