978-4-908736-05-6_cover

心理療法がひらく未来

エビデンスにもとづく幸福改革

リチャード・レイヤード,デイヴィッド・M. クラーク著
丹野義彦監訳

発行日: 2017年7月31日

体裁: 四六判並製384頁

ISBN: 978-4-908736-05-6

定価: 2600円+税

ネット書店で予約・購入する

電子書籍あり

内容紹介

人生の成長 社会の繁栄

社会は心の健康にどう取り組むべきか。精神疾患に苦しむあらゆる人が適切な心理療法を受けることができれば,人生や社会はもっとよくなり,国の財政も改善する。心理療法アクセス改善政策(IAPT)でタッグを組んだ経済学者と臨床心理学者が,イギリス全土で巻き起こった幸福改革の全貌を明らかにする。

目次

第1部 問題は何か?

第1章 何が問題か?

第2章 精神疾患とは何か?

第3章 どれだけの人が苦しんでいるのか?

第4章 援助は得られているのか?

第5章 精神疾患は生活にどう影響するのか?

第6章 経済的負担はどれくらいか?

第7章 精神疾患の原因は何か?

第2部 何ができるか?

第8章 治療は有効なのか?

第9章 治療法はどのように発展したのか?

第10章 どの治療法が誰に効くのか?

第11章 心理療法を提供する経済的余裕はあるのか?

第12章 心理療法アクセス改善(IAPT)政策はどう生まれたか?

第13章 子どもと若者に対する効果的な治療法は何か?

第14章 精神疾患を防ぐことができるのか?

第15章 よりよい文化は助けとなるのか?

第16章 この苦痛を止められるか?

著者

リチャード・レイヤード(Richard Layard)

Author_RichardLayard世界的に傑出した労働経済学者で,2008年に労働経済学研究所(IZA)労働経済学賞を受賞。上院議員として,心の健康の問題に尽力している。2005年に刊行した『幸福』(Happiness,未邦訳)は,20の言語に翻訳されている。

デイヴィッド・M. クラーク(David M. Clark)

Author_DavidMClarkオックスフォード大学の心理学教授。認知行動療法に関する世界有数の専門家で,よりすぐれた治療法の開発に携わる。リチャード・レイヤードとともに,心理療法アクセス改善政策推進の原動力となった。

監訳者

丹野義彦(たんの・よしひこ)

東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学大学院心理学専攻修了,群馬大学大学院医学研究科修了(医学博士)。著書に,『講座臨床心理学(全6巻)』(東京大学出版会,共編著),『叢書 実証にもとづく臨床心理学(全7巻)』(東京大学出版会,共編著),『臨床心理学』(有斐閣,共著),『認知行動アプローチと臨床心理学――イギリスに学んだこと』(金剛出版),『ロンドンこころの臨床ツアー』(星和書店),『イギリスこころの臨床ツアー』(星和書店)など。

はじめに

私たちは,一人が経済学者で,もう一人は臨床心理学者である。一〇年前に出会い,時を経ずして,私たちの社会にあるとんでもなく不正義なことについて話すようになった。不正義というのは,身体疾患のある人は治療を受けることができる一方で,精神疾患のある人は,精神疾患に対して効果の高い治療法があるにもかかわらず,治療を受けられないことだ。

それから私たちは意気投合してイギリス政府にロビー活動をおこない,ついに心理療法アクセス改善(IAPT)政策という記念すべきプログラムが動き始めることになった。IAPTプログラムが始まると,私たちは二人ともそのアドバイザーになった。まだまだ道のりは長いけれども,IAPTはこれまでに何千人もの人生をよりよく変えることができた。『ネイチャー』誌の言葉を借りれば,これは「記録的な」達成であり,この成果を自国にも役立てようと,世界中の国々からIAPTを見学にやってきた。

この本では,メンタルヘルスの事業を立ち上げ,政策を着実に発展させていくために,私たちが何をおこなってきたのかを伝えようと思う。また,エビデンスにもとづく心理療法を必要とする何百万もの人たちに提供しようと奮闘してきた現場の人たちのおかげで,この本はできあがった。

どのような問題があり,その問題はどのくらい大きく,どのような活動をおこない,どのように解決してきたかを,この本では提示している。身体疾患のある人が治療を受けられるのと同じように,精神疾患のある人も治療を受けることができなければならない。それこそが倫理的に正しく,また経済的にも社会機能のうえでも必要なことなのだ。

この五〇年間に,多くの面で社会は大きく進歩した。しかし,不幸はまだ残っていた。人間の内側にある心理的なことが原因となって苦痛が生まれることに,私たちは対処してこなかったのだ。二一世紀に何より挑戦すべきなのは,人間の内側に目を向け,苦痛を克服することなのだ。

監訳者あとがき

サイナビ!に,本書の監訳者あとがきを掲載しています。

メディア掲載、書評等

『毎日新聞』2017年8月27日朝刊「今週の本棚」に書評が掲載されました。評者は経済学者の大竹文雄教授。毎日新聞のサイトはこちら

「今月の本棚」『児童心理』2018年1月号、書評(評者は松見淳子先生)

「ほんとの対話」『こころの科学』2018年3月号、書評(評者は東畑開人先生)

「初心者のためのブックガイド」『心理臨床の広場』2020年12巻2号、書評(評者は松見淳子先生)