18歳は大人か?子どもか?――心理学から現代の青年をとらえる(4)

――最後に言われた発達心理学の話は,前段で言われた子どもの発達の話とどうつながるのでしょうか。大人にも発達の可塑性があるなら,少年だけに特別な処遇をする根拠がなくなります。

私は,実は,子どもだけでなく,大人にも犯罪からの立ち直りの発達援助が必要であると考えているのです。ただし,そのあり方は大人と子どもで違います。その違いが前段で述べたことと関係します。発達の可塑性が大きいか小さいかではなく,その中身が違うため,求められる発達援助も違う,ということを言いたいのです。

青年期にいる少年は,これまで養育者など環境の影響を受けて発達していた存在から脱して,みずから自己を形成し自立していこうとします。これは,それまでの自分を崩して,新しい自分をつくろうとする営みとして現れます。非行のある少年は,非行を通して,それを行っているのです。こんな自分でも認めてくるかどうか,大人に問いかけているのです。自分が認められることがわかれば,彼らは青年期を卒業できます。非行も終わるのです。

以上のような理解が「翻訳」です。ここでは発達段階に基づく「翻訳」をしていますが(本連載が発達心理学に関係するものであるため),それだけで終始するわけではありません。個人の資質や環境の問題など多岐にわたり,「翻訳」の実際は1人ひとりの少年で違っています。そのため,専門家による調査が必要になります(4)

非行が粗暴になると,一般の大人ではどうすることもできません。彼らは往々にして厳しい環境で貧困や暴力にさらされて育っているからです(5)。そこで,少年院といった特別な処遇が必要となるのです。強力な枠組みが前提になければ大人は少年を受け入れることはできませんし,少年もそれに応えることができません(6)。少年法の適用を下げて,こうした処遇を外してしまうと,少年は非行から立ち直ることができなくなります。

――厳しい環境が非行の原因と聞こえましたが,厳しい環境で育った人でも非行をしない人がいます。

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その通りです。その理由として,私はマイナス要因の存在だけではなく,プラス要因の存在を挙げたいと思います。プラス要因とは,例えば,少年を理解しサポートする大人の存在であったり,少年自身が高い能力を習得し,それを発揮できる機会が与えられたりするようなことです。マイナス要因があっても,それを打ち消すだけのプラス要因があれば非行に行かないと思います。非行をする少年は,そうしたプラス要因をほとんどもち合わせていないため,少年の認知できる行動の選択肢が狭まってしまっているのです。少年の個性や環境を考慮するとともに,少年に行動の選択肢を広げたり,あるいは認知できるようにしたりするのが発達支援の役割です。


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