内部告発と組織不正の心理(3)

組織による不正が,内部告発により明らかになる事件があとを絶ちません。なぜ組織不正が生まれるのでしょうか。内部告発とはどのようなものなのでしょうか。社会心理学,社会技術がご専門の岡本浩一教授に話を伺いました。第3回は,組織風土の問題と,組織風土を変えるためのコミュニケーション技術についてです。

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Author_okamotokoichi岡本浩一(おかもと・こういち):東洋英和女学院大学人間科学部教授,社会技術研究所所長。社会学博士。主著に『会議を制する心理学』(中公新書ラクレ,2006年),『組織健全化のための社会心理学――違反・事故・不祥事を防ぐ社会技術』(新曜社,共著,2006年),『属人思考の心理学――組織風土改善の社会技術』(新曜社,共著,2006年)など。

組織によってどのように違うのか

――自分の組織風土がどのようなものかは気づきにくいようにも思いますが,どうすればわかるのでしょうか。

大きい会社の場合は,支社によって風土がかなり違うことがあります。地域差もありますし,関西と関東も違います。例えば同期入社の課長同士がいて,出張の際に夜お酒を飲んだりするときに,ぽろっと出る話に,「おやっ」という要素があったりします。違いが見えてくるわけですね。私のようにいろいろな職場の風土を見てきていると,すぐにわかりますが,毎日同じ職場でノルマがあって仕事をこなしていると,そういうことを感じなくなるのではないでしょうか。全国から集まる研修のようなもので,横断的に集まる機会がありますが,そういうときに気づくきっかけがあったりします。

――会社の大きさでも組織風土に差があるのでしょうか。

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会社の大きさで,どういう種類の不正が起きやすいという傾向はあります。個人的違反でも,どういう種類のものが起きやすい,起きにくいということはあります。拙著『職業的使命感のマネジメント』(1)に,消防士の職業的使命感の研究が載っています。消防署はその地域の人口の多さで規模が決まっていて,大規模消防署,中規模消防署,小規模消防署とあります。そこで,関東と関西の大規模消防署,中規模消防署,小規模消防署で,どういった違反が起きるかデータをとりました。それを見ると,規模によって違反が違います。全般的に小規模の方が,いろいろなものが容認されやすく,箝口令もしきやすい。箝口令をしくことができるということは,組織的違反が起きやすいわけです。

コミュニケーションの仕方を変える

この人が上司として赴任すると風土が悪くなる,ということがあります。コミュニケーションスタイルに問題があるわけです。

逆にこの人が行くと,うまくいくという人もいます。

風土が悪い部署の現場責任者を集めて研修をしたことがあります。コミュニケーションの傾聴の技術を実習すると,それらの部署の風土がかなりよくなります。ですので,いま傾聴の技術の研修を重視しています。


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