のぞいてみよう!ICP2016――世界と日本の心理学の未来に向けて(後編)

若い人に向けたメッセージ

――ICPにいろいろな方が参加してくださるとよいですね。最後に,若い研究者の方や学生に期待したいことがあればうかがえますでしょうか。

今の時代,大学院生が研究組織に就職するためにはたくさんの論文を書かなければならないというのが常識化されています。学問の奨励のためにそして学生が成長するために,そうした刺激があった方がよいとは思うのですが,やや心配なのは論文を書くためには間違えたことをしてはいけない,査読者のあら探しに堪えられるように欠点をなくしておかないとよい雑誌には載らないということが強調されすぎて,骨太な研究の芽を摘んでいるのではないかということです。

それは乗り越えなければいけない壁ではあるのですが,一番大事なのは,自分なりの発想を大事にするということです。自分なりの発想がまわりから受け入れられなくても自分の独自の考えを大事にする人が結局は一流の研究者になっているように思います。受け入れられなくても,けなされてもへこたれないことが新しい研究を生み,そして,若い人たちが新しい発想に基づく研究を追求することが,これからの日本の心理学を支えていくだろうと思います。

クオリティの高い雑誌に論文が採択されるということは,数は少なくとも,就職の際によい効果をもちますし,よい雑誌に出す際には,アメリカの雑誌に出ていた先行論文の実験方法を少し変えて不完全な部分を補いました,ということではなく,新しいオリジナルなアイデアによって論文を完成する方がむしろ一流紙には通りやすいと思います。若い人は,おおいにオリジナリティの高い研究を目指してください。

文献・注

(1) Program – Public Lectures

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