のぞいてみよう!ICP2016――世界と日本の心理学の未来に向けて(後編)

――海外からも,日本に期待しているところもあるわけでしょうか。

そうでしょうね。日本は科学大国ですし,サイエンスの多くの分野では世界をリードしているという面があります。心理学も個人やチームではリードしている人たちはたくさんいると思いますが,日本全体として,まとまりをもってリードしているということは,まだないのではないかなと思います。ぜひそういうことができるようになればよいなと思います。

――意義の1つとして挙げられていたアジアとの連携という面について教えていただけますか。

ここのところ,公益社団法人日本心理学会は他のアジアの学会との連携を深めています。また,現在のIUPsyS会長のサス・クーパー氏がアジアの心理学関連組織の連帯を高める一助になればよいということで,アジアにおいて影響力のある心理学者を集めて,Asia Pacific Leadership Forumという会議を開こうとしています。ICPがアジアとの連携の1つの飛躍のステップになることを希望しています。

社会と心理学

――日本でも公認心理師に関する法律が成立したわけですが,社会に対する心理学からの貢献とはどういったものでしょうか。

IUPsySが世界的に一番大きい心理学の組織ですが,その次に大きい学会として,IAAP(International Congress of Applied Psychology)という応用心理学の学会があります。ICPはどちらかというと基礎科学系が強くて,IAAPは応用心理学会だから実践的・臨床的なのですが,いまではICPにおいても臨床的なテーマの研究発表が数多く見られます。また,心理学の立場から,社会に対して発言しようという姿勢があります。人種問題や,性的少数派であるLGBTIに関する課題など世界が抱える諸問題に対して,国際連合とも協力をしてアプローチしています。

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――ICP2016には,研究者や実績のある実践家でないと参加できないのでしょうか。

ICPでは一般の方に向けた無料の公開の催しがあります。ホームページにも出ていますが,次の6つが予定されています(1)

・山村浩二(Koji Yamamura)「How to Create the Movement in Animation」7月24日14時30分~15時30分

・北山修(Osamu Kitayama)「On the Prohibition of “Don’t Look”: Depth Psychology in Shame Culture」7月25日17時20分~18時20分

・柘植雅義(Masayoshi Tsuge)「Diversity of Learning in Classroom and Role of Psychology in Japan: The History, the Present Situation, and the Prospects」7月26日17時20分~18時20分

・内田伸子(Nobuko Uchida)「Recovery from Child Abuse」7月27日17時20分~18時20分

・川島隆太(Ryuta Kawashima)「Qualitative Measures for Communicative Activities in Daily Life Situations」7月28日17時20分~18時20分

・越智啓太(Keita Ochi)「Application of Psychology in Criminal Investigation: The History and Current Situation」7月28日18時40分~19時40分

これは日本語で開催されます。心理学に関心のある一般の方にもぜひ来ていただけると,と思っています。


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