内部告発と組織不正の心理(3)
Posted by Chitose Press | On 2017年09月15日 | In サイナビ!, 連載トレーニングで部下とのコミュニケーションがよくなり,関係が変わると風土が変わってきます。傾聴の研修では1年に3回合宿をします。最初は,家族1人だけに対してコミュニケーションの仕方を変えます。全員に対して変えるとわからなくなってしまうから,子どもが2人いたら,片方だけ変えるわけです。そうすると,その子どもが反発しなくなってくる。
1カ月したらまた来てもらって,どういうふうに変えたら子どもがどう変わったか,例えば子どもが家でご飯を食べるようになったとかを話してもらいます。次のステップは妻を含めて家族みんなに対してコミュニケーションを変えてもらい,それと同時に職場で2人を決めて変えることにします。決めるだけではなくて,それを想定してトレーニングをするわけです。
3回目に来てもらったときに,家族がどうだったか,そして自分がどうなったか,ということを話し合ってもらい,次に職場でどうだったかを話し合ってもらいます。いきなりやると,全部失敗することもありますから,数人だけコミュニケーションの仕方を変えるわけです。それでいけそうだとなったら,職場全員に対して変えてもらう。
時間的に余裕がある年度だと,もう一度来てもらって,職場でどうしてもやりにくい相手は誰か,どんな人で,どうしてやりにくいのかを話し合ってもらいます。だいたいパターンがありますから,それを想定したドリルを用意していて,それに沿ってロールプレイをしてもらいます。それをやると劇的に変わります。みんなが一番言うのは,家族との関係がよくなったということです。
まず1人だけにやることによって,効果を確かめられ,自分の何が変わったかが見える。さらに,どうしていままで自分にそれができなかったかもわかる。にらみをきかせていたかったとか,子どもに親をばかにしてほしくなかったとかに気づくわけです。指導では小手先から指導しますが,コミュニケーションは小手先だけで変わるわけではありません。小手先から指導することによって,もっと大きい人間としてのあり方の問題に気づいていく。同じことを職場でもするわけです。小手先だけで変わっているわけではなく,上司として成長しているわけです。
――1年くらいかけないと変わらないのですね。
1年かけて変わったんだけれど,半年したら元のスタイルに戻ってくることもあります。やった人は効果があったと感じているようですけれども,コンスタントに訓練しないとダメですね。