TEA(複線径路等至性アプローチ)の過去・現在・未来――文化と時間・プロセスをどのように探究するか?(1)

サトウ:

立命館大学で2002年の秋ぐらいに、文学部に外国人招聘教授の枠が1つ余っているから,誰かいないかという話があって,ヤーンを呼ぼうと思ってメールをしたんだ。すると,2004年の1月なら来れるということでそこに来てもらうことになった。来るのであればシンポジウムをしようということで,やまだようこさん(16)とかいろいろな人とかにも来てもらうことにしたんだけれど,彼が来日するまでに時間もあったから,やまださんや院生たちとヤーンの本とかをいろいろと読んでたんだよね。

そして,シンポジウムの準備の時に,文化に関する何かを発表しないといけないということになって,その当時におこづかい研究をやっていたから,どうにかそれを発表したい,うまく表せないか,と思ってTEM的にやったわけです。その内容は今回の英語論文集のChapter 2にあるけれど,おこづかいをもらう,もらわないということを図にして表したわけだよ。でもなんかしっくりこなくて。

figure2-1

図 英語論文集Figure 2.1

渡邊:

ああ,でもこう横軸に時間をとって,絵を描くのはこの時にあったんだ。

サトウ:

それは,もともとタイムラインだもの。でも,タイムラインでやると一次元だけしか使えないでしょ。

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渡邊:

フローチャートにはしないで横に描いたわけだね。それが二次元ということだよね。

サトウ:

そうそう。母子を別にして,次元を分けたのが1つの工夫。

渡邊:

上がMotherで下がChildなのか。

サトウ:

そこから一工夫。ヤーンの図(Figure 2.2)を見ていたから。

figure2-2

図 英語論文集Figure 2.2

サトウ:

これに習ったらいいんじゃないか?と思って,自分で図(Figure 2.3)を描いたわけ。

figure2-3

図 英語論文集Figure 2.3

渡邊:

苦し紛れでもあったわけだね。

サトウ:

まあね。これで発表したら,ヤーンがすごく面白がってくれて,次の日ぐらいに彼に呼ばれて,一緒に論文を書こうということになった。それが英語論文集のAppendix 1。もともとヤーンが頼まれていた原稿を,私を引っ張り込んで書こうとなったわけ。2004年1月に書こうと決めて,これが出たのが2006年。この最初の論文を書いている時に,ベルタランフィやTrajectoryなどの勉強をしたわけです。

渡邊:

それはヤーンがもっていたわけ?

サトウ:

いや違う。ヤーンは博識だけれど知らないこともたくさんあった。最初の英語論文を書くにあたって,私がいろいろ調べてて「こういうの入れようと思うんだけど」なんてことをヤーンにも相談したら,「それいいじゃない」みたいなやりとりがあったりして,どんどん進めていったんだよ。彼自身はEquifinalityの概念を発達に入れたらいいだろう,ということだけが書いてあったんだよね。さっきの図(Figure 2.2)がそれ。

渡邊:

この図はあったけど,あくまで概念図でデータは入っていないんだね。なるほどね。

サトウ:

それでHSS(Historical Structured Sampling: 歴史構造化サンプリング)について書いたんだけど,安田さんの話でいうとね,2004年1月はちょうど彼女が不妊治療についての修論を書いた時だったんだけど,修論のデータを再分析して深めてみたらよいのではないか,という話をしたわけです。そうすると安田さんが前向きに取り組んでくれて,8月には国際心理学会で発表をして,そのまま続いていった。そうすると,いろいろなものに英語で書け書けと依頼があって,そのつど書いたものがいろいろとある。例えばChapter 4にはお二人(渡邊や尾見)と書いたものもあるわけだ(17)

あと,年に一度くらいヤーンのところに行って合宿をしたりしていた。向こうに1週間くらいいて,私が午前3時ぐらいまで起きて書いて,ファイルを送ってから寝る。するとヤーンが4時か5時くらいに起きてきて,指示や訂正をしてくれて,10時ぐらいに俺が起きるとまたそこから書いたり,ということをしていた。そうこうするなかで,岡本依子がクラークに留学して,ということもあった。経緯を話し出すと長くなっちゃうけれど。


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