事件,事故のことを子どもからどう聴き取ればよいか?――子どもへの司法面接(2)
事実について報告を求める
Posted by Chitose Press | On 2016年12月16日 | In サイナビ!, 連載面接の構造
面接は,子どもの自由報告を引き出しやすいように,以下のように緩やかに構造化されている。
1.子どもに挨拶をし,面接の目的を述べる。
2.面接を開始するにあたり,約束事を述べる。約束事は通常,次の5つを言う。
・「本当にあったことを話してください。」
・「質問の意味がわからなかったら,わからないと言ってください。」
・「質問の答えを知らなかったら,知らないと言ってください。」
・「私(面接者)が間違ったら,間違っているよと教えてください。」
・「私(面接者)は何があったかわかりません。あったことを,最初から最後まで全部話してください。」
こういった文言は,より正確に,よりたくさん話すよう子どもを動機づける。約束すれば絶対に大丈夫,というものではないが,予防接種のような働きをする。つまり,出来事についてより正確に,よりたくさん話してもらえる確率を高めるといえる。
3.次に,話しやすい関係性(ラポールという)をつくる。
たいていは,「何をするのが好き?」などと尋ね,子どもの好きなことを話してもらう。
「何をするのが好きですか?」
「お友達と遊ぶのが好き」
「じゃ,お友達と遊ぶときのこと,お話しして」
「学校から帰ってきて,近くの○○ちゃんの家に行ったりする」
「うん,行って,それからどうするの?」
「えっとね……」
このように話してくれたならば,「今のように話してくれるとよくわかります。今みたいにたくさん話してくださいね。」と動機づける。
4.さらに,出来事を思い出して話す練習をする。
司法面接は「いつものこと」や「知っていること」ではなく「何があったか」を話してもらうことを目指す。そのため,特定の出来事を思い出して話してもらう練習をする。
例えば,次のように報告を求める。
「今日あったことを最初から最後まで思い出して,話してください」
「えー,わかんない」
「そうか,朝起きて一番最初に何をした?」
「トイレに行ったかな」
「そうか,そのあとは?」
「朝ごはん食べた」
「うん,それから?」
「うーんと,学校の準備して,○○くんが迎えにきたから,一緒に学校にいって……」
このように話ができるようになってくると,大変よい。日常生活では「最初から最後まで話して,全部話して」や「それから?」「そのあとは?」というように自由報告を求めることはあまりない。ここで練習をしておかないと,本題でも十分な報告を期待することができない。