基礎心理学ポータルサイトPsyPoの登場

日本には,心理学を研究している研究者,そして次世代の研究者を育てている研究室がたくさんあります。どの研究室でどういった研究がなされているのかを,どうすればうまく探すことができるでしょうか? 日本基礎心理学会の若手メンバーによる新しい試みをご紹介します。(編集部)

Author_TayaShuichiro田谷修一郎(たや・しゅういちろう):慶應義塾大学法学部専任講師,日本基礎心理学会若手研究者特別委員会委員長。主要著作・論文に,Trained eyes: Experience promotes adaptive gaze control in dynamic and uncertain visual environments.PLoS ONE, 2013, 共著),「絵画における3次元空間の表現と知覚」(三浦佳世編『感性認知――アイステーシスの心理学』 北大路書房,2016年, 分担執筆)など。

サイトのねらい

PsyPoは日本基礎心理学会若手研究者特別委員会(以下,基礎心若手会)が運営するポータルサイトです。ポータルサイトの「ポータル」という言葉はもともと港(port)に由来し,ウェブの利用者が知りたい情報に効率よくアクセスするための拠点の役割を果たすものを指します。いまではそういう使い方をする人はあまりいなくなってしまったかもしれませんが,例えばYahoo!なんかがそれにあたります。

Yahoo!のトップページにはニュースや天気予報,その他の生活情報などにカテゴリ分けされたリンクが一覧になっていて,それをクリックするとそれぞれのカテゴリに該当する外部サイトのリンク一覧がまた表れます。このような構造をもつこととで,ポータルサイトは利用者に知りたい情報への効率良いアクセスを提供することができるわけです。同様に,基礎心理学のポータルサイトであるPsyPoのトップページには,「研究分野」と「研究手法」のカテゴリリンクが並んでいて,それをクリックするとそれぞれのカテゴリにタグ付けされた研究室サイトのリンクが一覧表示され,興味のある分野の研究室に簡単にアクセスできるようになっています(図1)。さらにPsyPoでは,研究室へのリンクとともに短い紹介文が表示され,リンク先に飛ばなくてもそれぞれの研究室でどのようなことが研究されているのか,ざっと概観することができます。

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図1 PsyPoメインページ

PsyPoは基礎心理学を学ぶ学生や研究者・教員に,国内のどこで誰がどのような研究を行っているのか一望できる検索の入口となることを目的につくられたサイトです。昨今は基礎心理学者も連絡先や履歴・業績一覧を載せたウェブサイトをもつことが当たり前になっていて,特定のテーマで共同研究のパートナーや講演者を探したい研究者や学会主催者,そして進学を検討中の学生にはとても有益な情報を提供しているのですが,その一方でそれら個々人の運営するサイトは,アクセスするにも情報を比較検討するにも何分効率が悪い。そうしたサイトを集約して,知りたい情報に効率よくアクセスできるというのがPsyPoの最大の利点です。


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