
子どもの性の多様性
セクシュアル・アイデンティティとジェンダー・アイデンティティの探求を支えるために
発行日: 2026年1月20日
体裁: 四六判並製208頁
ISBN: 978-4-908736-45-2
定価: 2300円+税
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内容紹介
子どもの多様な性の世界へ
1人ひとりが異なる性のありようを描く子どもたちの姿を、どのように理解すればよいのか。園・学校や地域社会における性の多様性を尊重する環境づくりと、アイデンティティの観点に立った子どもたちへの支援とは。子どものジェンダーとセクシュアリティの発達に関して、基本的な理解と支援のあり方を丁寧に解説する。
目次
序章 性的マイノリティのカテゴリー
第1章 心理的性の発達
第2章 性の多様性を尊重する園・学校,地域社会
第3章 セクシュアル・アイデンティティ支援
第4章 ジェンダー・アイデンティティ支援
第5章 医療的身体介入を求めている子どもへの支援
はしがき
本書は,子どものジェンダーとセクシュアリティの多様な発達とその支援について,国内外のさまざまな先行研究を踏まえて論じたものである。これまで,教職員,行政職員,医師,看護師,福祉職,保育職,心理職など多様な性の子どもたちに関わる専門職向けに講演・研修をしたり,学術商業誌などに執筆をしてきた。本書はこれまでの内容を統一のものとしてまとめて論じたものである。
最新の議論も盛り込んではいるが(とくに第5章の医療的身体介入の章),本書が目指しているのは,年月が経てもあまり変わることのないであろう基本的な理解と支援のあり方を示すことである。本書が子どもの多様な性に関する理解と支援をめぐる学術的・実践的議論を支える基礎的な書籍の一端を担うことができれば,と考えている。
性は,「男性」「レズビアン」「Xジェンダー」など,カテゴリーとして捉えられるだけでなく,「生物学的性の分化レベル」「性的指向の濃淡レベル」「ジェンダー・アイデンティティの安定性レベル」等,連続的にも捉えられる。どう捉えるかは,必要とされる文脈によって異なるだろう。本書では多様性を考えるにあたり,カテゴリーとしての性の理解と,連続的である性の理解の両者を取り扱うよう努めた。
構成は以下である。
序章「性的マイノリティのカテゴリー」
カテゴリーとしての性の理解について,どこを分割線とするのか,またどのようなカテゴリー化がなされているのかについて紹介する。
第1章「心理的性の発達」
性的指向,性役割,性同一性それぞれの子どもの性心理発達について,多様であることの実際の意味(発達的変化と分散など)について,これまでの先行研究に基づき紹介する。
第2章「性の多様性を尊重する園・学校・地域社会」
意識するにせよしないにせよ,序章および1章で紹介したように,子どもの性はそもそも多様である。それを前提とした社会をつくるには,どのような環境が求められているのか,とくに学校に焦点をあて,論じる。
第3章「セクシュアル・アイデンティティ支援」
性的指向に関するカウンセリングにあたっての視点を紹介する。とくにアイデンティティ理論を構築したエリクソンの「セクシュアル・アイデンティティ(性的同一性)」概念に依拠しつつ,「性的指向」と「セクシュアル・アイデンティティ」との違いを明確にしながら,セクシュアル・アイデンティティのモラトリアムを保障しつつ支援することについて述べていく。
第4章「ジェンダー・アイデンティティ支援」
性自認に関するカウンセリングにあたっての視点を紹介する。とくに「性自認」と「ジェンダー・アイデンティティ(性同一性)」との違いを明確にしながら,ジェンダー・アイデンティティのモラトリアムを保障しつつ支援することについて述べていく。「小児期」と「思春期・青年期」とでは発達段階が異なり留意する点も違う。多様なジェンダーに関するヘルスケアの専門職向け国際ガイドラインに依拠しつつ紹介する。
第5章「医療的身体介入を求めている子どもへの支援」
ジェンダー・アイデンティティ支援の中で,ホルモン療法や手術療法などの医療的身体介入を望む子どもがいる。この章ではとくに医療関係者を対象に,医療的身体介入適用に関する慎重なアセスメント,医療的身体介入のメリットデメリット,そして子ども本人が「自己決定」するための支援のあり方について先行研究を踏まえ議論する。
では,子どもの多様な性の世界へ。
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