新刊ナビ!(2016年1月)

年末や2016年1月に刊行された心理学に関する書籍の中から気になったものを一言を添えて紹介します。神経科学や学習科学、会議の社会心理学、新しいパーソナリティ障害の見方などなど。今年も面白い本がたくさん発見できるでしょうか。(編集部)

外国語を使っているときに、私たちに何が起こっているのか。バイリンガルはどういった特徴をもつのか。言語心理学、認知心理学からのアプローチ。

フランシス・ジェンセン, エイミー・エリス ナット, 野中香方子訳
文藝春秋 (2015/12/10)

少年から青年への移行期、子どもたちの脳ではどのような変化が見られるのか。これまであまり研究されてこなかった10代の脳について、最新の知見を紹介。脳の成長、IQ、睡眠の影響、脳に悪影響を及ぼすさまざまな要因とは。

戸田山和久著
NHK出版 (2016/1/7)

ホラー好きの戸田山教授が、私たちのもつ恐怖感情について、哲学、心理学、神経科学など幅広い観点から分析していきます。新書ながらズシリと重く、読み応えのある入門書。

ラリー・ヤング, ブライアン・アレグザンダー, 坪子理美訳
中央公論新社 (2015/12/9)

「神聖なもの」として考えられがちな性や愛は、神経科学でどこまで解明されたのか。オキシトシンやヴァソプレッシンの働きなど、ミクロなメカニズムからたどる新しい愛の科学。

ベネディクト・キャリー著, 花塚 恵訳
ダイヤモンド社 (2015/12/11)

どうすれば、よりよく学ぶ、勉強することができるのか。サイエンスライターが第一線の科学者への取材をもとに、最新の「勉強法」を紹介。学習科学、教育心理学の新しい動きを知ることができる1冊。

キャロル・S. ドゥエック著, 今西康子訳
草思社 (2016/1/15)

考え方のクセ、「マインドセット」は人によってずいぶんと異なる。マインドセットは実際の行動や人生の出来事をどのように左右するのか。旧版で削られていた章を収めた「完全版」。

子どもの遊び場でたびたび起こる事故。なぜ防ぐことができないのか。安全に遊べる遊具や公園管理の実態を、リスク・ベネフィット・アセスメントの観点から検討する。

矢野眞和著
東京大学出版会 (2015/12/19)

大学はどのような存在なのか。大学進学機会の平等化が経済政策としていかに合理的か。実証データを用いて、日本の大学の実際に迫る。

村井潤一郎著
サイエンス社 (2015/12/10)

心理学ってどんな学問だろう? コンパクトながら網羅性を保った概説書。

岡本浩一著
中央公論新社 (2016/1/8)

「会議」――組織において、避けては通れないもの。民主的な仕組みとして期待されてはいますが、組織的な不正の温床になる可能性も。参加するメンバー間のさまざまな力学が影響し合う会議を、社会心理学の観点から読み解く。実際の会議で使える知識と戦略が身につく1冊。

中谷内一也著
講談社 (2015/12/17)

互いに信頼しないことには社会はうまくまわっていかない。信頼っていったい何だろう?シンジ君と心理学の専門家ナカヤチによる「掛け合い」による7日間の授業。

村山満明, 大倉得史編
現代人文社 (2016/1/5)

2012年に発覚した連続死体遺棄事件。複数の家族が織り重なって複雑な人間関係を形成し、虐待や殺害が繰り返された。家族に何があったのか。裁判記録、心理検査やテキストなどから、そこで起きた心理を分析する。

日本経済新聞社編
日本経済新聞出版社 (2015/10/9)

こころは経済学的にどう分析できるか。『日本経済新聞』での経済教室面の「やさしい こころと経済学」の連載を1冊にまとめた。従来の行動経済学の枠を超えたさまざまなトピックを紹介。

パーソナリティ障害の新しいとらえ直しが起こっている。パーソナリティ障害の新しい見方、治療の考え方とは。