新刊ナビ!(2017年2月)

不定期更新の新刊ナビ! 2016年12月以降に刊行された書籍の中から気になったものを一言を添えて紹介します。つじつまを合わせようとする認知傾向、社会的影響、死への恐怖の意味、失敗にまつわる心理、理性の進化や協力の進化、ダメな統計手法、教育や子育てに関する政策や財政の問題などなど盛りだくさん。(編集部)

これまでの新刊ナビ!はこちら

ジュリア・ショウ 著, 服部 由美 訳
講談社 (2016/12/14)

記憶は必ずしも正確に物事を覚えているわけではない。偽の記憶はどのように「記憶」されるのか。なぜそれが本当らしく感じられるのか。そしてその意味とは?

横澤 一彦 著
岩波書店 (2017/1/20)

脳は,身のまわりのことを「つじつまが合うように」再構成している。そのメカニズムはどのようなものなのか,いろいろな現象から読み解いていく。

二重過程理論,マシュマロテスト,お金,人間関係道徳に関わる意思決定など,さまざまな側面について,俯瞰的な観点から整理した入門書。

ジョーナ・バーガー 著, 吉井 智津 訳
東洋館出版社 (2016/12/20)

人間関係,マーケティング,ヒット商品,節約など,幅広い社会活動の中で,社会的影響力は私たちどのように影響を及ぼしているのか。また,それをうまく「利用する」ことはできるのだろうか? 

シェルドン・ソロモン 著, ジェフ・グリーンバーグ 著, トム・ピジンスキー 著, 大田直子 訳
インターシフト (2017/2/15)

「恐怖管理理論」の代表的研究者たちが,「死への恐怖」が私たちの行動や社会にどのように影響を与えているのかを紹介する。

私たちが理性をもつのはどうしてなのか。どのように理性が進化したのか。理性があることがヒトの社会や行動に何をもたらしたのか。

サミュエル・ボウルズ 著, ハーバート・ギンタス 著, 竹澤 正哲他訳
エヌティティ出版 (2017/1/31)

ヒトはなぜ協力するようになったのか。政治学,経済学の観点から,ヒトの協力の進化のメカニズムを,重厚なボリュームで解説する基本書。

マシュー・サイド 著, 有枝 春 訳
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2016/12/23)

失敗はなぜ起こるのか。失敗からいかに学べばよいのか。失敗にまつわる人間の心理傾向を事例を踏まえつつ考察。

矢野 眞和 著, 濱中 淳子 著, 小川 和孝 著
岩波書店 (2016/12/16)

日本の政治や政策はどうして教育にお金をあまりかけようとしないのだろうか。国民の意識(世論)の調査を手がかりに,教育と社会について分析する。

なぜ他者を理解することができなくなっているのか。現実を直視するにはどうすればよいのか。気鋭の社会学者による社会批評。

日本でもいくつかの大学が定員割れとなり,閉校したり,公立化したりしている。日本の小さい大学がどのように生まれ,そしてどのような役割を果たしてきていたのか。また,なぜ「限界大学」が生まれているのか。

アレックス ラインハート 著, 西原 史暁 訳
勁草書房 (2017/1/27)

よくわからず統計を利用する人にありがちな,統計分析に関するさまざまな誤用を具体的に紹介している。手元に置いておきたい一冊。

安藤寿康著
SBクリエイティブ (2016/12/6)

行動遺伝学の観点から,遺伝と環境の影響を踏まえた新しい教育のあり方,社会のあり方を提案。

鈴木 忠 著, 飯牟礼 悦子 著, 滝口 のぞみ 著
有斐閣 (2016/12/12)

ヒトは生まれてから高齢者になるまで,どのような生涯発達をおくるのか。認知,対人関係,自己の3つの側面から考えていくテキスト。

柴田悠 著
朝日新聞出版 (2017/2/13)

子育て支援に国がお金をかけることで,将来的な経済成長につながる。子どもの貧困,自殺,親の雇用など,多くの社会問題にどのように取り組んでいくか,実証的に検討する。