日本犯罪社会学会に参加しました

朝は2つのテーマセッションと2つの自由報告が開催されていました。その中で自由報告Eを聴講しました。3時間の中で5つ報告がありました。順番に30分ずつ報告+質疑を行われ、最後にすべての報告に対して質疑を受ける時間がありました(セッションによって違うのかもしれません)。

立ち直り、教育の意味

1つ目の報告「少年院出院者における就労の継続」では、少年院を出院した人が就労を続けられるかどうかは非常に重要な「立ち直り」の課題だということから、職業についてどういったアスピレーション(願望)を抱いているか、ということが取り上げられていました。

2つ目の報告「矯正教育における「一般化された他者」の意味」では、矯正教育で行われているソーシャルスキルトレーニング(SST)について、「一般化された他者」という観点から分析したもの。ソーシャルスキルに課題をもつ人に対するSSTは矯正の現場でよく行われているようで、その効果や意味を問い直す作業かなと思いました。

3つ目の報告「「弱者」としての非行少年への教育的アプローチ」は、非行少年の社会復帰支援についての調査研究の中で保護観察官に調査を行ったということで、その報告の総論的な話。続く4つ目、5つ目の報告はその続きでした。調査は、「教育」がどういう営みなのか、という観点から非行少年への「教育」を掘り下げていこうという意図があるようでした。

4つ目の報告「教育的行為としての更生支援活動」は、先ほど述べた「教育」の観点から保護観察を読み解いていくもので、実際の保護観察官の方へのインタビューをもとにした分析でした。

5つ目の報告「「立ち直り」のゴールは以下に設定されうるか?」は、保護観察官の専門性を明らかにしつつ、「立ち直り」のゴールをどのように設定するのか、を分析していました。

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後半の3つについて、今後は保護観察官以外の方にも調査をするということで、幅広い分析が行われるのかなと思いました。

会場には実務の方も結構来ているようで、議論にも活発に参加されていました。研究の多くは実生活上の課題を扱っていて、聞いていて面白く参考になる報告ばかりでした。

S. マルナ『犯罪からの離脱と「人生のやり直し」――元犯罪者のナラティヴから学ぶ』がよく紹介されていました。立ち直り研究の基本的な書籍なのだと思われます。

 

ところで社会学の学会では一般的なのかよくわからなかったのですが、各報告に対応して、文章化されたレジュメが用意されていることが多かったです。パワーポイントを使用するかたは半分程度。また、当日の発表では配布資料を読み上げていく形式の発表も多く、発表形式でも「文化」があるのだなと感じました。「文章化する」ことが求められる素地があるのかもしれません。


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