事件,事故のことを子どもからどう聴き取ればよいか?――子どもへの司法面接(4)

以前,私たちの研究室では福祉や司法の専門家を対象に,福祉や司法の協働を阻む要因について,意識調査を行ったことがあります。その結果,「制度やシステムがない」「考え方や方法,立ち位置が異なる」「他の専門組織や専門性に関する知識や理解の不足」「時間,人員,場所等の不足」といった意見が見られました。しかし,平成27年に大きな変化が起きました。

事実確認における連携――協同面接

平成27年10月28日,厚生労働省,警察庁,最高検察庁の3つの機関が連携に関して,すばらしい通知を出しました。各機関が繰り返し子どもに事実確認を行った場合,記憶が不正確になるばかりでなく,心理的な負担も高くなる。これを防ぐために三者が協同で事実確認をしましょう,というものです。このような面接を「協同面接」といいます。

上記通知や「児童虐待対応の手引(平成25年8月版)」(2)によれば,協同面接として想定されているのはいわゆる司法面接です。つまり,三機関のいずれかが面接者となり,他の機関の専門家はモニター室で面接を支援します。窓口や連携の手続きは各地域で異なり,警察本部が面接をコーディネートしているところもありますし,検察庁,児童相談所がその役割を担っているところもあります。以前は,情報共有が難しい,被害届けが出ないと司法は関われない,などの問題がありました。しかし,近年では,こういった課題は解決されつつあります。

それでも,検察官が面接者でないと裁判の証拠となりにくい,警察・検察が面接者となった面接は捜査上の証拠となり,児童相談所との共有が難しい,などの課題もあります。また,現在のところ,連携が求められている機関は児童相談所,警察,検察の三者ですが,事実確認には医療診断(頭の先から足の先までの身体検査)が有益ですし,面接を見守り,事実を踏まえて子どもを支援する心理臨床や精神医療なども関わることが求められます。法改正も含め,こういったことがらは今後の課題だといえるでしょう。しかし,こういった連携は,子どもを中心に据えた大変有意義な方向性だといえます。


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